His life as a cat














猫みたいなやつ。
気位が高くて
気紛れで
甘えるのが下手なクセに
邪険にされるのは嫌い。
様子を伺いながら爪を立てて
一定以上の距離を絶対に譲らず。
そっぽ向きながらでも
こっちを気にしてたりして。
かなり可愛くないクセに
何だか可愛いやつ。



レッドはぼんやりとソファに凭れ掛かりながら、てきぱき動く孔明の姿を見ていた。

「どうなさいました、レッド殿。お疲れですか?ぼんやりなさって」
声を、掛けられた。
自分の事に集中していたようだから、こちらに気を配っている訳もないと思っていたのに。
いつのまにか。
――そう、こういう処が、とても、似ている。
「…私は、お前がいなくなったら死んだと思うからな」
不意に、考えるよりも先に言葉が、口をつく。
そんな事はそう珍しくも無い――他人からは『脊髄反射で生きる男』と云われるけれど――が、こんな風に何処か切羽詰ったような気持ちが混じるのは初めてだった。
「…?何ですか、それは」
案の定、訳が解らないといったような風情で孔明が僅かに首を傾げた。
曖昧な微笑が浮かんでいる、その姿が不意に透けるように見えて。
ああ、そうか。
自分は心配しているのだろうか。
この男がいつか――――
「だから、勝手に何処かに行くなよ?」
誰にも看取られる事無く、一人孤独に逝くんだろう。
お前を探して歩くだろう存在にも気付かないで。
何一つ、大切だとも想えずに。
「私が、ここを離れて生きていけるとお思いですか?」
「お前の…今の判断が揺るがない事を祈りたいな」
きっとその時が来れば、今そう云った事すら忘れてお前は行くんだろうな。
薄情なやつ。
馬鹿なやつ。
淋しいやつ。
そして――何だか
愛(かな)しいやつ。
「本当にどうなさったんですか?今日は」
孔明が、場を和ませる意味合いだけの微笑を浮かべる。
「働き過ぎだ。リフレッシュ休暇でも寄越せ」
「お好きになさいませ。樊瑞殿がお許しになられれば、ね」
ぽんぽんと歯切れの良い応酬をし、レッドは凭れる態勢からごろんと横になると、目を閉じた。
やがて来るだろう未来を、夢に見ぬようにと祈りながら。













■おわり■






孔明を動物に譬えるなら「猫」です。ごめんなさい。保護者なレッドは書くのが楽しいのです。すみません。オフラインで何度もしつこいくらいに書いている『ボスを裏切るVer』の孔明でした。
大事なものを失うのが嫌で、何もかも自分から台無しにしてしまう破滅的な人だと思っていました。
今は若干考え方も変わって来ています。年月は否応なしに変化を呼びますね。


2003/01/19






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